2021年08月26日

言霊の華 第六三八号

『英霊たちを「犬死」と言わせないために』

平家の滅亡はやがて琵琶法師によって美しくも哀しい調べとなり、「平家物語」として後世に語り継がれて行きました。爾来(じらい)、日本人の琴線に触れ続け、今日に至っております。何故、平家物語が日本人の共感を喚(よ)ぶのか。きっとそれは、「滅びゆくものの美」がそこにあるからなのだと思います。

平家一門は武家の棟梁から朝廷の要職を占めるに至り、その栄華は雅やかさ、きらびやかさを極めました。その短い栄華は、一門の滅亡と云う形で幕を閉じたのです。平氏と源氏の決定的な違いは、平家一門の結束力が強く、とても仲が良く、学問、芸術、文化を重んじ、且つ一族の諍(いさか)いがほとんど見られることが無かったことです。

一方の源氏と云えば、頼朝は弟たちを殺し、親戚、一族を殺し陥れる策謀、謀略の、とても「美」とは遠いものでした。源頼朝の後を継いだ北条氏もまた同じで、その後の足利幕府も政略、謀略の連続です。

雅性、文化性を重んじた西日本武士団、政治性、儒教性を重んじた関東武士団。結末は、徳川幕府が西日本武士団に因って滅亡します。源氏が滅亡しても徳川の時代が終焉しても、「平家物語」のような人々に共感をもたらすような文学は、遂に現れませんでした。

平家の最期は、終わりっぷりが見事だったのです。先の大戦で散華して逝った特攻隊をはじめとする御英霊たちも同じです。後世の人々に忘れることのできない出来事として、強烈な記憶と余韻を残したのです。

毎年8月15日が近づくと、必ず特別番組として、大戦のドラマ、映画、ドキュメンタリーがテレビ等で放映されますが、全て大東亜戦争原罪論に帰結してしまうのです。驚いたことは、NHKの朝の連続テレビ小説の再放送の「あぐり」です。丁度終戦の日に日程を合わせたかのように、これでもか、これでもかと厭らしいほど戦前、戦時中の極端な日本の姿を強調しているのです。

左翼NHKの意図が判ります。そしてこのような放送で必ず言われることは、「戦争のことを忘れてはならない、風化させてはならない」です。その意味は「日本が間違っていた、悪かった」「戦死した人は惨めで憐れだった」。しまいには、「犬死だった」とまで言います。

そのことを忘れてならないと言いたいのでしょう。大東亜戦争原罪論に縛られている内は、決して英霊たちは報われません。英霊たちはそのような悪や罪のために殉じて逝ったのでしょうか。国家存亡の時、国を守るため、愛する家族やふるさとを守るため、楯となって逝ったのです。

英霊たちを犬死させたか、させなかったかは、後世に続く我々の生き方で決まるのです。英霊たちが願っていた祖国日本の姿と人々の姿。国を愛し、平和を愛し、繁栄を想う、その心にどう向き合って報いて行くべきなのか。

先の大戦のことを決して忘れてはならないとは、このことを言うのです。英霊たちを不幸だと思うその心が不幸なことなのです。そう云う我々こそ犬死だと思ったほうがいいでしょう。

英霊たちは生命(いのち)の尊さ、国家の尊さ、人生の尊さを自ら示して下さったのです。英霊たちを犬死させるのもさせないのも、我々の現在(いま)の、これからの生き方が決定することを肝に銘じなければなりません。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古

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2021年08月11日

言霊の華 第六三七号

『オリンピック開会式、閉会式の哲学性と想像(創造)力の欠如』

猛暑の中での東京オリンピックが終了しました。世界の祭典が無事に成し遂げられたのは何よりです。今回のオリンピックでメダル獲得選手もそうでなかった選手も、インタビュー中に泣いており、そのインタビュー最後に自分を支えてくれた家族や仲間、チーム関係者に、そして大会そのものに感謝の氣持ちを述べており、その美しさにとても感心しました。

真剣に努力し闘ってきた者たちだからこそ、最後は感謝に行き着くのだと思います。人生もきっとそうでしょう。不平、不満、愚痴、悪口、批判が多い人は、真剣に向き合ってこなかったか、努力をしてこなかったからだと思います。苦労して来た者たちだからこそ判りあえる、相手の氣持ち、人の氣持ち。

今回のオリンピックで敗者をも称え、祝福するシーンを随所で見せて貰い、勇氣とエネルギー、浄化を頂いたように思います。きっと多くの国民もそう感じたに違いありません。だからこのオリンピックはやって良かったのです。

ただ残念だったことは開会式、閉会式のセレモニーでした。何故もっと日本らしさが出なかったのでしょう。コロナ禍の中での開催で、選手を含む外国から訪れた関係者は選手村から外出できず、日本の素晴らしさを知る機会がほとんどありませんでした。せめて開閉会式ぐらいはその色をもっと出すべきだったと思えてならないのです。

少数民族アイヌの紹介パフォーマンスで思うことは、何故そこまで取り上げねばならないのかと云うことです。日本にはアイヌ虐待や虐殺の歴史などありません。ただ同化政策を急ぐあまり、善かれと思ったことが行き過ぎて、アイヌ民族の文化、伝統に配慮が足りなかったこともあったのは事実でしょう。

しかしアメリカのネイティブアメリカンや、オーストラリアのアボリジニに対する虐殺、虐待、人種差別などに比べたら、月とスッポンです。ロサンゼルスオリンピック、ソルトレイクシティオリンピックもシドニーオリンピックも、そうした負い目から先住民族を濃厚に登場させるパフォーマンスが演じられたのです。勿論、アイヌ文化の固有性、精神性は尊重し保護するのは当然のことでしょう。

今回のセレモニーで感動したのは、閉会式で宝塚歌劇団が袴姿で歌った「君が代」でした。凛としたその姿に多くの国民が心を打たれたはずです。しかし宝塚の出番はそれだけでした。次のパリオリンピックに向けてエールを送る意味でも「ベルサイユの薔薇」を是非歌って欲しかった。どれだけ閉会式が盛り上がったことか。

日本のオリンピック企画委員会が協議に協議をかけ、きっとこのような内容になったと思われますが、それにしても哲学性、未来性が無さ過ぎます。結局想像(創造)力が欠落するあまり、ストーリー化できないのです。

閉会式では地方の祭や習俗が映像に映し出されていました。しかしあれでは、日本は多民族の集合国家だと言わんばかりで、外国人に一体どんな印象をもたらしたのか。

私は過去四度ほど自衛隊音楽祭に行きました。圧巻だったのは、全国の駐屯地で結成されている音楽隊が一堂に会する和太鼓の大演奏です。魂が揺さ振られるほど感動しました。

外国人には到底訳の分らない地方の習俗や祭を短時間で映し出すより、全国の伝統的な和太鼓の大演奏が繰り広げられることの方が、どれだけ外国の人々により感動と深い思い出を残すことができたことでしょう。残念に思えて仕方ありません。

哲学性の乏しさ、想像性の乏しさ、それが戦後日本の国家意識の足りなさから来ていることを自覚するべきです。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古

◎来週8月18日(水)の言霊の華はお休みさせていただきます。
次回638号は、8月25日(水)に配信致します。

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2021年08月04日

言霊の華 第六三六号

『「君が代」「日の丸」を改めて想う東京オリンピック』

現在(いま)オリンピックも後半に差しかかっておりますが、アスリートたちの活躍のお蔭で多くのメダルを獲得するに至っています。その度に掲げられる「日の丸」、流れる国歌「君が代」を見、聞くに及んで想うことは、オリンピックとは個人競技を超えて最早国家間競技だと云うことです。

国家の威信にかけて、誇りにかけて競い合うのは、学術の世界、音楽、芸術、経済の世界も同じでしょう。今回のオリンピックに於いて、中国の強さに世界中が驚いています。正に国家意識の強さがそうさせているのです。

中国の学術論文の本数、留学生の数は、残念ながら日本は足元にも及びません。宇宙開発のスピードも掛ける予算も軍事費も、アメリカを凌駕しています。中国の野心丸出しの海洋進出、または侵犯、そして人権弾圧。途上国に対する「経済支援」という名の政治的支配は、露骨極まりないものとなっており、民主主義諸国から強く反発され、警戒されるに至っております。

「強きことは正しいこと」これこそが覇権主義であり、いまの中国そのものの姿でしょう。かつてイギリスもアメリカもそうでした。しかし第一次大戦、第二次大戦の教訓により、国際平和を真に希求し始め、高度な民主主義を実現したのです。

しかし中国の歴史は一度も立憲民主主義を経験することなく、清王朝が滅んで中華民国となったものの長続きせず、間もなく中国共産党王朝になったのです。即ち中国は真の意味での民主主義をいまだ知らないのです。数千年の歴史を通して経験して来たのは、「強き者による支配」でした。オリンピック競技も強くなければならないのです。

今回のオリンピックがまだ中盤だというのに、何度も日の丸が掲げられるのを見、君が代が流れるのを聞いています。日本国内でこんなに多くその場面を見るのは、57年前の東京オリンピック以来でしょう。日本の若者たちは恐らく初めて経験することです。

それだけ見ても、今回多難だったオリンピックが開催されたことは大いに意義あることだと言えます。

日の丸、それは白地に赤。
道元禅師の和歌を紹介します。

 冬草も 見えぬ雪野の しらさぎは おのが姿に 身をかくしけり

この歌の題名は「礼拝」です。きっと白一色、純白無垢でありたいという想いこそ、道元自身の白鷺に対する姿であり、自己投影なのです。

藤原定家の歌にもあります。

 駒とめて 袖うち払ふ 影もなし 佐野のわたりの 雪の夕暮れ

白皚々(がいがい)たる静寂の世界に、さらに雪はしんしんと降りしきり、白我そのものが音なき空間に沈んでいく様が判ります。「白」とは癒し、浄化、帰幽を意味する宗教性の深い世界なのです。その中心に赤い丸。赤は誰でも判るお日様です。

神道の心の大切さに「清き 明かき 直き心」があります。赤とは明かきこと。万葉歌人の「田子の浦ゆ うち出てみれば・・・」で有名な山部赤人の和歌の多くに「清き」が出てきます。清浄なる自然を慕う彼の名前が「赤人」だったことも頷けます。

国歌「君が代」の全然闘争にむかない荘重な高き調べ。そして「清き 明かき 直き心」を取り戻す日の丸。改めて「君が代」「日の丸」の有り難さに感じ入っている今日この頃です。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古

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☆日時:令和3年9月14日(火) 19:00〜22:00

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