2016年03月25日

言霊の華 第三七〇号

『至純なる恋の物語』

「大和娘よ、大和娘の恋をせよ」
これは国文学者、折口信夫の言葉です。
大和娘の恋とは恋の至純を意味したもの。

昔、江戸の商家の娘が、店に出入りしていた
商人の青年に恋をしてしまいました。
打ち明けることもできず、二階の窓から、階上から、
その青年をそっと見続けていたのでした。
恋の思いは日に日に募るばかりです。

食事もとうとう喉を通らなくなり、
家人が心配で理由を問いますが、
決してそのことは口に出すことはありません。
そして遂に衰弱死してしまうのです。

古代の実話の中にもそれに似た話があります。
万葉集の巻九に、
高橋虫麻呂が詠んでいる歌が二首あります。
その一つが六甲山麓、現在の芦屋辺りに住んでいた
菟原処女(うないおとめ)に対する和歌です。

彼女は絶世の美女でした。
その菟原処女に、誰よりも熱心に求婚する男が
二人いました。
それが菟原壮士(うないおとこ)と智弩壮士(ちぬおとこ)
です。
この熱心な二人から言い寄られた菟原処女は
選択できません。

処女(おとめ)は母に
「私はとても選べません。
私は死に、黄泉(よみ)の国まで追ってきてくださった方に、
心がなびきます」
と言って生田川に入水自殺してしまいます。

それを夢で見た智弩壮士(ちぬおとこ)は夢から醒めて、
その足で彼女の後を追い生田川に飛び込んで行くのです。
後で知った菟原壮士(うないおとこ)は天を仰いで絶叫し、
地団駄踏んで太刀を持ち二人の後を追いかけます。

もう一つは、下総の国葛飾郡(現在の千葉県市川市)に
真間(まま)と言う所があります。
奈良時代以前、そこに蝦夷(えみし)の女性で
やはり絶世の美女がいました。
真間の手児名(てこな)と言います。
髪も切らず、靴も履かず、
粗末な麻の服を着ているだけの乙女です。

大和朝廷から遣わされた多くの役人たちから
求婚されるのですが躊躇します。選べないのです。
そしてとうとう真間の手児名も入水自殺するのです。

現代人の感覚から言ったら、
そんなにモテていたのに勿体無いと思うでしょう。
しかしたとえ異性であっても、選択するというのは
一種の商品化と言っても過言ではありません。
より良いものを選別して最後に決定するのです。

かつて、この前まで日本女性は
自分の夫を選択できませんでした。
どちらかを切る...それができない...苦悩する。
そういう時代があったのです。
現在では考えられないことです。

しかし、日本女性が世界最高の
コスモロジカルな存在だとすれば、
「切る」のではなく、
赦し包み込むと言う心性が
常に働いているはずなのです。

(次回に続く)

合掌 かむながらありがとうございます

菅家 一比古

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【行事案内】
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【大阪】

★第10回「美し国関西」理念と心を学ぶ会(最終回)★

テーマ:「日本霊的ルネッサンス −繋がりの恢復−」

講 師:菅家一比古 美し国代表

■日 時:4月14日(木)
 18:30〜21:00 (受付18:00〜)

■会 場:エートス・ステーション
大阪市北区西天満3‐14‐16 西天満パークビル3号館 1階
 ★地下鉄堺筋線・谷町線「南森町駅」
  (2番出口)より徒歩5分
 ★JR東西線「大阪天満宮駅」
  (3番出口)より徒歩6分

■参加費: ★一般:2,000円
    ☆美し国会員・学生:1,000円(当日受付にて)

★詳細・お申込み ⇒
http://kokucheese.com/event/index/380117/

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【東京】
★みすまるの宮 例大祭★

日時:4月9日(土)11:00〜16:00(受付 10:20〜)
 ■講演 11:00〜12:15  ]
講師:ケント・ギルバート氏
 ■例大祭 12:30〜13:45
祭主 菅家 一比古  
 ■直会 14:00〜16:00

参加費:7,000円(玉串料・直会代等として)

会場:東京都杉並区久我山4−50−36
 菅家 一比古宅(菅家庵)
(京王井の頭線「久我山駅」北口徒歩5分)

お申込み:下記美し国事務局まで
※事前申込制 締切3月31日(木)

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posted by 事務局 at 13:33| Comment(0) | 言霊の華
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