2018年02月08日

言霊の華 第四六六号

『 常に小さきものであり続ける 〜日本人の心性の中の無常観〜 』

夏目漱石には

菫程(すみれほど)な 小さき人に 生まれたし

という俳句があります。
熊本の旧制五高の教授時代に、自宅の庭に咲いていたスミレを詠んだものです。

そして松尾芭蕉にも

よく見れば 薺(なずな)花咲く 垣根かな

という句があります。
小さな生命(いのち)に対する懐かしさや郷愁が、一入(ひとしお)伝わってくるかのようです。


漱石はこの後、東大の教授に赴任します。当時では日本最高のエリートで、後光が射しているような権威を持っていました。東大を辞めた後、大小説家として更に活躍します。そういう漱石でありながら、小さなスミレほどの存在でありたいと願っているのです。

漱石は「こころ」を発表して、人間の自我の地獄を覗き見て、その世界を言葉で描ききります。にも関わらず、最終的には「則天去私」という、言葉を超えた心の世界を説いているのです。小さきものであり続けたいと願うその思いは、ついに「無私」まで昇華します。


松尾芭蕉の世界も吉田松陰も正岡子規も別に宗教家だった訳ではありませんし、宗教を学んでいた訳でもありません。

正岡子規の晩年

鶏頭の 十四五本も ありぬべし

と詠い、弟子の高浜虚子から「こんなの俳句ではない」と言われてしまいますが、当の本人はいたって満足していたそうです。そして後世の人々もこの句を評価しております。

(編集部注:鶏頭=花の形が鶏のトサカに似ているヒユ科の植物)


日本人は宗教から学ばなくとも、宗教が解らなくとも、元々「天然の無常観」が備わっており、極少の生命に無限大なる魂を捉えてきたのです。どんな小さな生命でも宇宙生命に繋がっている一員なのだと感じており、既に自然から理(ことわり)を学んでいたのです。

日本の歴史を見ていると、困難にある時や国家の命運がかかっている時など、彗星の如く「人物」が登場します。それまでは「人物」たちは武道に打ち込んでいたり、学問に打ち込んでいたり、畑仕事していたりと、ごく普通に暮らしていたのです。


それがある時、突然天から召命を受けるのです。召命を受けた「人物」「人財」は「天が必要とする時、必要とされる」人々だったに違いありません。呼ばれるだけの理由があるのです。

英雄はその人生全てが英雄だった訳ではありません。人生のある一時機(期)、その時機だけ英雄だったのです。


大石内蔵助の討ち入り、坂本龍馬三〇才〜三十三才までの三年間、吉田松陰先生、高杉晋作の晩年数年間、元寇の時の北條時宗の執権時代、源義経の源平合戦期間。

大村益次郎の第二次長州征伐、戊辰戦争の時代。乃木希典、児玉源太郎、東郷平八郎、秋山真之の日露戦争、大東亜戦争を終結に導いた鈴木貫太郎首相。

そのために生まれてきた人々。表舞台に立つまでは「菫ほどな小さきものに生まれたし」だったに違いありません。


私の座右の銘の一つに「底光るただの人」があります。私は、自分自身があくの強い、癖のある高慢な人間ですので、人一倍謙虚を心懸けているのですが、まだまだ足りません。

常に自分を「天が必要とするとき、必要とされる人間である」状態を準備、維持しなければと自戒している次第です。


合掌 かむながらありがとうございます

菅家 一比古

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posted by 事務局 at 10:01| Comment(0) | 言霊の華
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