『「完全自己滅却性」と日本人』
昔から日本には「損して得とれ」と言う言葉があります。利他の精神に生きることを日本人は美徳としてきました。
しかし「損して得とれ」には打算が見え隠れしているように思われてなりません。本モノの一流人はひょっとして「損して損する」ことを厭(いと)わない人たちなのかも知れません。一切の打算なし。
現在(いま)NHKの大河ドラマ「西郷どん」が放映されています。以後、西郷さんと呼びます。西郷さんは幕府に指名手配された京都清水寺の管長、住職であった月照上人を連れ、薩摩に逃れます。勿論、西郷さん自身も指名手配の身であります。
西郷の助命嘆願の条件は、月照上人を自ら(西郷さん)その手で殺害することでした。西郷さんはそのような条件を受け容れることなど絶対できる訳がありません。錦江湾(鹿児島)に船を浮かべ、斬らねばならない月照上人を抱き抱え、もろとも海に入水します。
しかし西郷さんは一人、助かってしまいます。一週間以上も生死をさ迷いながらも遂に息を吹き返しました。そしてその後、奄美大島に流されます。先ずこれが第一の死の体験で、この時一度死んだのです。
そして二度目の死は、島津久光の命に背いた罪で切腹はなんとか免れたものの、重罪人として今度は沖永良部島(おきのえらぶじま)に流されます。海に面した雨風吹きさらしの牢に閉じ込められ、遂に死が間近に迫りました。
意識を失くし死を迎えた西郷さんを、牢役人は藩の掟を破り、村人と力を合わせ助け出し家に運び込み、ここでかろうじて息を吹き返し、生き返ります。
この沖永良部での西郷さんは、はっきりと死を選んだと思われます。しかし天は召しませんでした。西郷さんは二度死んだのです。それは「完全自己滅却」。
とくに沖永良部での西郷さんの吹きさらしの中での座禅、瞑想は死を覚悟してのもの、死に向かってのものでしたから、高僧たちの千日回峰行等の難行苦行にきっと匹敵していたものに違いありません。
この二度の死の体験を通して西郷さんは「霊魂(みたま)そのもの」になったと言ってよいでしょう。
怖れるものは何も無くなったのです。完全自己否定。それは「損して得とれ」などと言う生半可なものではありません。マイナス×マイナスなのです。それはプラスに転じます。
西郷さんに限らず、日本の精神的風土には常にこのような「自己滅却性」が伴います。
欧米は「個の主張」ですが、日本は「没個我」なのです。先の大戦での神風特攻隊の姿にはっきりとこの自己滅却性が現われていました。英霊たちは自己滅却することで日本と云う生命の大海原に帰一したのです。
即ち、日本と云う理念生命に帰結することにより、日本の自然の中や、我々子々孫々の魂の中に生き続けていると言ってよいのです。
良寛和尚の辞世の句を紹介します。
形見とて何を残さん 春は桜 夏ホトトギス 秋は紅葉(もみじば)
西郷さんの人生の真実は当時の西洋合理主義者たちには到底解らなかったでしょう。あの司馬遼太郎も解りませんでした。文学者、歴史学者の限界です。
西郷さんの本質は宗教でのみ捉えられるのであって、次元が違うのです。
合掌 かむながらありがとうございます
菅家 一比古
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2018年06月28日
言霊の華 第四八五号
posted by 事務局 at 10:03| Comment(0)
| 言霊の華
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