2021年02月17日

言霊の華 第六一五号

『「秋山木工」と「宝塚」で想うこと』

昨年11月23日、葉山一色海岸で新嘗祭の禊を終えた後、名古屋の大須賀先生のお導きで横浜都築区にある秋山木工を訪ねました。其処には現代日本では見ることのできない、古き良き日本の厳しい職人の伝統的教育があったのです。

それは一昔前、世の中に徒弟制度があり、一流の職人、匠を磨き上げ、育て上げるための智恵と伝統に満ちていた世界でした。

秋山木工の秋山利輝棟梁はテレビにもよく取り上げられ、中でも「ガイアの夜明け」でのドキュメントは大きな話題となりました。現在では見ることのできない丁稚制度があり、京セラの創業者稲盛さんや、ビートたけしさん等は、秋山棟梁の大ファンです。

秋山木工の特注家具は、宮内庁、迎賓館、国会、有名ホテルでも使用されており、独特の職人育成制度は海外からも注目されているのです。秋山木工が主宰する秋山学校は丁稚見習い期間が1年あり、現場での丁稚が4年、お礼奉公が3年の計8年で、一流の職人を育成します。そして秋山木工を卒業し、外に出されるのです。

折角8年もの間育て上げたのに、何故外に出すのか。それは充分に世の中に認められ、通用するからであり、人様や世間、そして日本のお役に立つため大いに活躍して貰うためだと云います。丁稚見習い1年でもダメな場合は丁稚にはなれません。

丁稚になった場合、全員丸坊主、女性も丸坊主になります。丁稚期間は、親との面会禁止、恋愛禁止、スマホ禁止、それを経て6年目にして職人になるのです。

朝5時起床、掃除、食事づくり、1.5キロのランニング、8時朝礼、一日の仕事が終わった後、道具の手入れ、自習等を含め、就寝できるのは11時。何と苛酷な丁稚制度でしょう。「親を喜ばせたい。世の中を感動させお役に立ちたい」と云う氣持にならない人間は伸びないので、篩(ふるい)にかけられるそうです。

秋山木工には、棟梁がつくった「職人心得三〇箇条」があります。例えば、明るい人から現場に行かせてもらえます。トイレ掃除のできる人から現場に行かせてもらえます。といったものが三〇箇条。これは〇〇ができなければ、現場に入る資格が無いと云うことです。

現場とは何か。それは創作芸術を生み出す聖なる空間であり、舞台であります。そこで思ったことは、宝塚のことでした。先月、1月15日、堀内明日香女史と宙(そら)組の組長さんのお計らいで宝塚の舞台を初めて観劇できました。

テレビで見るのとはあまりにもの違いにただ圧倒され、深い感動の余韻に浸ったのです。彼女らがここまで人々に感動をもたらすことができるのは、高い芸術性をその人格、即ち人間性にまで落とし込んでいるからに違いありません。既に現場以前に勝敗は付いているのです。

技能を磨き、身に着けると共に、それ以上に人間性が問われ、磨き上げねばならないのです。企業も同じだと言わねばなりません。職場とは、創作芸術の表現の場そのもの。どんなに地味な仕事であろうとも、単純な仕事であろうとも、苛酷な仕事であろうとも、全体としての一級の芸術品を創作するための大切な一部であり役割なのです。

宝塚の舞台は総勢で80名の女優が出演しており、華々しいトップスターを中心に、それを支える女優たち一人ひとりが見事に自分の領分を自ら感動しながら演じているのが判ります。

日本の学校で一番の狭き門のため、血の滲むような努力をして来た彼女らは40倍の難関を突破して来たのです。しかし喜びも束の間、2年間にわたる峻厳を極める宝塚音楽学校の訓練と修行が待っています。

秋山木工も宝塚も究極は、「立派な人間」「美しい人間」を追求し研鑚しているからこそ世の中に感動をもたらすことができるのです。「企業も斯(か)くある可(べ)し」と思う大切な体験をさせて頂きました。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古
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posted by 事務局 at 11:53| Comment(0) | 言霊の華
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