2021年10月27日

言霊の華 最終回 第六四六号

『花園の午睡』

あなたをいつも上から見下ろしてばかりゐた
あなたをいつも自分の眼鏡だけで見てゐた
果たしてあなたは私を見てくれてゐるのだらうか
本當は私の粗い波動を受けて傷つき
目をそらしてゐるのかもしれない

もつとあなたに近づきたい・・・
もつといのちを感じたい・・・

あなたと語りあへたならどんなに素敵だらう
この世の最高の戀人のやうにいつくしみ
私は癒されるに違ひない

私は花の氣持ちになつてみやうと思ひ
見下ろすのをやめ
花たちの隣に寝転び天を仰ひでみた

空いつぱいの青空が澄み渡り
綿菓子のやうなふんわりした雲が
につこり微笑みながら通り過ぎて往く

愛らしく囀る小鳥たちが
まるで無限の青ひ空間を
遊び場にしてゐるかのやうに
無邪気に戯れてゐる
蜜蜂たちはとてもにぎやかに
花たちとおしやべりしながらうれしさう

やがて一羽のアゲハ蝶がやつてきて
私の上を戸惑ひながら舞つている

あなたのその小さないのちは
皆を生かしてゐたのだ
そしてその可憐ないのちを
皆がいとほしく思つてゐたのだ

美しいあなたは自らを主張しやうとしない
だから人はさり氣ないあなたの
美しいいのちをつい見過ごしてしまふのだ

その可憐なるものを
地の上に現はしたものを私は讃へる
やうやく私はあなたと一つになれた氣がした
寝そべる私の身体の底から
大地の生命の囁きが
子守唄のやうに響ひてきた

あたりは目映ひばかりの光に包まれてゐる
まどろみをおぼへた私は静かに眼を閉じた

(菅家一比古 言霊詩集「いのち旅ゆく(二)」より)


この度、2021年10月末を持ちまして『言霊の華』の配信を終了させていただくことになりました。
ご登録をいただいておりました皆様には、長らくご愛読いただきまして誠にありがとうございました。
今後の皆様と日本の弥栄を心よりお祈り申し上げます。


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〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-42 神楽坂喜多川ビル5階
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2021年10月22日

言霊の華 第六四五号

『和らぎの世界を持つ人』

心の柔らかい、和らぎのある人の側にいるとほっとし、満たされます。
私もそういう存在でありたいものです。

作家の五木寛之氏は幼い頃、
ある夜、山を越えて、向こうの村まで行かなければならないことがありました。
断崖絶壁があるほど、山道は大変険しく、
五木寛之少年は恐怖におののき、不安に怯えながら歩いていました。

その時です。雲間からお月様が出て、さーっと足元が明るくなり、
辺りが照らされたので、深く感謝をしたそうです。

不安におびえながら、重い荷物を背負っての闇夜の山中行、それは私達の人生そのものです。
お月様に道を照らされて、勇気と希望と安心がもたらされたのです。

そこで考えてみてください。
月の光が重荷を軽くしてくれたのでしょうか?
月の光が山道を登る労力を軽くしてくれたのでしょうか?

月の光が、相手の重荷を軽くしてくれることは決してありませんが、
さやけき月の光は、相手に勇気と希望と安心を与え、再び歩き始めるように導くことができるのです。

以前も「涙」の話をしましたが、
「涙」は「大歓喜」の対極にあるものではなく、
「涙」と「大歓喜」はセットになっています。
観音大悲のように私のために泣いてくれ、私のために祈ってくれる人がいた。
「もののあはれ」や「感愛(かなしび)のこころ」を持ち合わせた、そんな和らぎの存在があれば、
復元力が働き、私は知らず知らずのうちに浄化され、
晴れやかに逞しく生きていくことができるのです。

隈もなく 澄める心の 輝けば
 わが光とや 月思うらむ

これは明恵上人の歌ですが、さやけき月と私の晴れ渡った心は一つです、
月の光によって私は清められています、という意味です。

「感染的一体感」で自他対立を超え、
積極的に大自然の生命と共鳴、共感して、
皆様の霊魂の扉を啓き、和らぎの世界をさらに深めていってください。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古

【お問合せ】
美し国 事務局
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2021年10月14日

言霊の華 第六四四号

『自然力を呼び起こす』

日本は照葉樹林文化の国です。文字通り、お日様の光を浴びて、木々が青々と生い茂るのです。ヒマラヤの南部・インドシナ北部・揚子江沿岸・朝鮮半島南部、この細長い一帯が照葉樹林文化の地域です。

この地域はタロイモとか、山芋などの根菜食が中心です。ヨーロッパは雑穀文化、アメリカはトウモロコシ文化と言われます。照葉樹林文化の根菜類には、葛・カタクリ・こんにゃく芋があります。これらは根を砕き、水晒しをします。

水晒しをするためには、大量の水と桶が必要になってきます。日本神話には、天照大神が天の岩戸にお隠れになったときに、アメノウズメノミコトが桶の上でマサカキを鬘(かずら)にし、笹を身にまとって踊り、天照大神に岩戸を開かせるというお話があります。こうしてみますと、水、植物(お花)、桶(器)を基層にし、複合的に重なり合って、茶道も華道も生まれたのではないでしょうか。

日本人は、自然の色を「青」に喩えます。空の青、海の青、山の緑も青になるのです。どう見ても、道路の信号は緑なのですが、それを青信号と言います。
「大和は国のまほろば 青垣山こもれる大和しうるわし」
幾重にも緑が青垣のように重なります。

もののけ、もののふ、もののべ、ものは霊魂を意味し、「もののあはれ」とは、大自然の生命と自らの生命が一つになり、合わさった感動を表現しているのです。大自然の生命の営みは、私の営みであり、私の生命の延長として観ているのです。

その一体感を持った時、「もののあわれ」という心性が成り立っていくのです。大自然の生命を眺めるという行為は、私自身を観る行為そのものなのです。自然と心がものとして一つ・・・それを「もののあわれ」と言います。

松尾芭蕉は『奥の細道』の冒頭に「月日は百代の過客にして いきかふ年もまた旅人なり」と表現していますが、自然界から、人間界から、宇宙転変、一切の世界が流転している、永劫なる循環をしていることを鋭く見抜いているのです。最高の霊性と情緒と感性を持った方だと思います。大伴家持、柿本人麻呂もそうです。

日本人の持っているこの感性は、なかなか他の世界には判ってもらっていないように思います。しかしこの自然力を呼び起こす力は、自然と一つになっていく力を持っています。欧米近代主義は計らいの連続ですから、大いなる自然力が養ってくれなくなるのです。

これからのポスト近代を提供できるものは、大自然回帰に基づいた日本の理念なのだということを知っていただきたいのです。

合掌 かむながらありがとうございます  

菅家 一比古

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≪10月イベントのご案内≫
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【美し国経営者連盟 第27回定例会】

呉善花氏ZOOM講演会

『日本人はなぜ「世のため」に商売をするのか』
〜日本にしかない「商いの心」の謎を解く〜

講師:呉 善花氏
拓殖大学国際学部 教授
一般社団法人美し国「なでしこオピニオンの会」代表

☆日時:令和3年10月23日(土)18:00〜19:30

HPなどにて講演会&懇親会の実施をご案内しておりましたが、
ZOOMでの講演会とさせていただきます。
ご了承ください。

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